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高齢者の慢性疾患における緩和ケア

 日本臨床倫理学会「高齢者の慢性疾患における緩和ケア」ワーキンググループがまとめた書籍『高齢者の慢性疾患における緩和ケア』が発行されました。


 副題には「QOL向上を目指す包括的ケアーホスピスケアから緩和ケアへ、そして、その先へー」とあり、「緩和ケア新時代!」に向けた提言書となっています。特徴は、臨床倫理的視点で考察した高齢者の緩和ケアに関する総論と、臨床現場で遭遇する高齢患者の緩和ケアの事例をまとめた各論から構成されている点です。これからの日本の医療・看護・介護の道標となる1冊だと思います。


総論

1 「臨床倫理」をキーワードに緩和ケアを考える

2 患者の権利からみた臨床倫理ー非がん患者の緩和ケアを受ける権利

3 緩和ケアで考慮するべき高齢者の特性

4 基本的な緩和ケア的アプローチGeneralist Palliative Careの重要性

5 緩和ケアにおける基本的な倫理的枠組み

6 患者の意向の尊重と家族等の役割

7 意思決定支援の法的側面ーガイドラインの比較を踏まえて

8 対人コンフリクト(interpersonal conflict)の解決

9 本人支援と家族支援ー看護師の視点からみた「家族ケア」

10 緩和ケアにおける医療者支援


【各論】

1 在宅における摂食・嚥下障害と緩和ケア家族の代理判断により人工的水分栄養補給を中止した事例

2 認知症と緩和ケアがん治療中に認知機能障害が併発した際の療養先の選定をめぐる検討

3 脳血管疾患と緩和ケア重度障害をきたし死亡直前までリハビリテーションを行った超高齢脳梗塞のケース

4 循環器疾患と緩和ケア慢性心不全患者の心不全医療ケアチームによる基本的緩和ケア

5 慢性呼吸器疾患と緩和ケア呼吸困難を「トータルディス二ア」としてとらえる全人的アプローチ

6 腎・透析疾患と緩和ケア在宅医療との連携による「維持透析見合わせ」の意思決定支援

7 排尿支援と緩和ケア排泄機能不全における排尿支援と緩和ケア

8 神経難病と緩和ケア気管切開、人工呼吸器装着、胃ろう造設を拒否したALSのケース

9 救急領域と緩和ケア呼吸管理に関して家族で意見の相違があった脳梗塞のケース

10 介護施設と緩和ケア意思疎通のできない入所者を花見に参加させるべきかー生活における「思いやり」の態度は緩和ケアに通じるー

11 看護と緩和ケア看護師がチーム医療のリエゾンとして意思決定支援した喉頭がん患者のケース

12 訪問看護と緩和ケア「わしは、だるまさんになっちまったよ」ー両下腿切断した糖尿病患者のケース



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