國分アイ先生の遺志を継ぐ
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「残しておきたい7人のコラム」から、村松静子さんの「起業家ナースのつぶやき」を紹介しています。今回は『國分アイ先生の遺志を継ぐ』です。

vol.34
國分アイ先生の遺志を継ぐ
2004-06-15
先日1通の封書が届いた。先生の弟さんと妹さんの連名のものである。
そこには、次のような言葉が添えられていた。

姉の優しさを感じ、その遺志を貫き通そうとした弟さんと妹さんのお心が伝わってきて、私はまた違った意味で感動した。先生よりも若いとはいえ、高齢で病弱な弟や妹たちになるべく負担をかけまいと、生前から配慮していた姉としての姿がそこに重なる。先生ならではの温かな心遣いは死後にまで続いていたのである。
國分アイ先生はやはり偉大な人なのだと、私は改めて思った。死が生の続きであれば、先生はご自分で作られたナースキャップに、こよなく愛した赤十字のマークをつけ、白衣を着て、あの優しい眼差しで、今でも苦しんでいる方たちに手を差し延べていると考えることもできる。そして、時には得意な刺繍に没頭し、時には、アップルパイを焼き、時には、書を開き学びながら、執筆に専念しているのではないだろうか。
妹さんがくださった手紙の中の一文に、私はあの日のことを思い出す。
「……姉が動けずにいた折、村松様が訪れてくださり、ベッドにまっすぐ体をのばして寝るようアドバイスしてくださったり。元気なお声で気合をかけてくださった時から、痛みがとれ、動けるようになったこと、鮮明に浮かんで参ります。……」
妹さんがおっしゃるように、私は元気すぎて、気合をかけることがある。
若き日に、先生に向かって発した一言がある。
「私は、國分先生は大好きですが、國分婦長は嫌いです」
その言葉を先生はしっかり覚えていて、会うたびにおっしゃっていた。
「あの言葉はねえ、う~ん、ショックだった。でも、せいこさんに言われるとねえ、納得!」

「八十乙女のつぶやき」というタイトルの著書が妹さんの手によって出版されると聞いている。その中には、先生の奥の深い真心がさらに綴られているはずである。私は、その著書を手にとるその日を楽しみにしている。



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