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看護の自立をはばむもの

 「残しておきたい7人のコラム」から、村松静子さんの「起業家ナースのつぶやき」を紹介しています。今回は「看護の自立をはばむもの・その1」です。

vol. 4             

看護の自立をはばむもの・その1

2001-10-26          


 岩波書店の国語辞典によると、自立とは「自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやってゆくこと。独立。ひとりだち」ということだ。


 総合病院・看護大学という身分が保障された組織を自らの意志で離れた私は、作家・遠藤周作氏を始めとした多くの方々に支えられながら、在宅看護の道を突っ走ってきた。この間、自分の力の足りなさや決断の難しさ等、正に自分との闘いであった。時には「私がおこなおうとしていることは間違っていることなのではないか」と疑問を抱くことさえあった。前へ進もうとすると、必ずや越えられない壁にぶつかる。白衣をまとい、赤十字のついたナースキャップを戴いたあの日からすでに33年が経過した。


 私にとって、この道は「一ナース・村松静子の自立への挑戦」であったと、今、実感している。私の看護を周囲に認めてもらいたい、療養者・家族が心底から求める看護を提供したい、関係職それぞれの専門家にも認められるナースとして位置づきたい、看護機能に社会的評価を受け、国から認めてもらいたい。理想はあくまで理想、理想を現実にしていくことは想像以上に困難なことであった。なぜなら、そこには周囲からの評価がつきまとうからだ。


 大きな組織を離れた私にとって、その第一の壁は「周囲からの批難、特に同僚からの批難の眼と声」であった。


『看護は聖職じゃない? 看護を売るなんて、あなた気でも狂ったの?

人道・博愛の精神はどこへ行ったの?』


『看護婦は組織を一歩離れたら家政婦と同じなのよ、わかっているの?

‘浣腸’だって‘摘便’だって、結局は医療行為なのよ。看護婦の独自の機能なんてないのよ。

あなたがおこなおうとしていることは10年早いわよ』


『私たち医者は皆を平等に診ている。君たちはお金を払えない人たちにはどうするんだね』


 悔しい一言一言、そこへ返したい言葉はいくつもあった。しかし、耐えるしかなかった。


 そんななかで、


『あなたたちのなさることは大事なこと。看護婦さんは医師のかばん持ちではありません。

 もっと、本当の看護婦として私たちを助けてください』


 療養者を抱える家族の声である。嬉しかった。涙が出てきた。


 私の心は葛藤していた。その心を自らなだめた。


 -いつかはきっとわかっていただける-

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