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人間我が物顔で生きるものではない

  • 1 時間前
  • 読了時間: 4分

 「残しておきたい7人のコラム」から、村松静子さんの「起業家ナースのつぶやき」を紹介しています。今回は『疑問は疑問、「今の時代って?」』です。


vol.27

疑問は疑問、「今の時代って?」

2003-08-27


 このところ、政治のあり方に疑問を抱くことがある。


 不景気ムードが続くこの時代に、金銭がらみの悪質な問題が続出している。そして、表面化される事態の行き着くところは政治界。あまりの不快な実情に、苛立ちさえ覚える。


 私の祖父もその政治界の一人であった。村会議員になったのは30歳の頃で、その後、公選初代の村長になるまで連続当選したと聞く。祖父のことを、父は「選挙に金など使わない。金もないし、使う必要もなかったのだろう」と回想する。「私心なく、論が立ち、押しも強く、実行力があったし、村政の将来を見通すすぐれた議員だった」と、語ってくれる人もいる。


 太平洋戦争が終わり、米国の指導で首長が公選されることになって、祖父はその初代の村長に選ばれた。昭和22年4月のことである。奇しくも、私が生まれた年であった。しかし私は、政治家としての祖父についてはほとんど記憶にない。一方で、孫を可愛いがる祖父の姿はしっかり覚えている。「小鳥には餌をやりすぎるな」「秋田へ来たら秋田弁で話せ」「学校の勉強ができなくても何も心配いらない」「正直に言うことだ。隠したりしないことだ」「足が冷たかったら、雪の中を走って来い」。祖父自らが実行して語るその一言一言には、説得力があった。


 「俺はやりたいことをやった。人のためにも尽した。悔いはない」祖父が家のど真ん中で堂々とこの世を去ったのは、昭和40年7月14日であった。祖父を支えた祖母は、それから18年後に逝った。ガッシリした祖父とは対照的で小柄な祖母は、信仰心があつく、いつも感謝の心をもって、陰日なたなく黙々と働いている人だった。孫の私に残っているのは満面の笑顔である。


 政治家の祖父を評した記事を読み、今の私の疑問と苛立ちが何から来ているのかを考えてみた。


はたや

新聞

昭和24年3月5日

第41号 

発行所  はたや新聞社

人 物 月 旦 評

 高橋賢之助氏の巻

  今を時めく時の人、畑屋長高橋賢之助氏はたしかに旦評の話題にしていい人物である。ガッチリした体躯、にがみ走った顔貌は何ものにも曲げられない強い意志の表徴か。千屋村の産で若い頃は人並以上に心身両面に苦労をしたと聞くが、その経験が氏をして今日あらしめたというのかもしれない。貧乏人や困窮者の心を一番良く知ってくれるし、又一肌脱いで働いてもくれる。上鑓田という部落人ばかりでなしに、氏に接する人は心を割って全部ぶちまけて話が出来る。親分的情義の人だと評する人もある。どこまで度胸がすわっているか底が見えない面もあるが、それでいて中々綿密細心なところもある。この前の村長辞職の時短気なと思った人もあったが、あっさり辞任したあたり、いい男前ともいえる。再度推されて村長の椅子に座ったが、早速助役を入れたあたり、氏の政治的手腕と円熟性がある。最近村政全般の呑み込みが完全になったせいか、それとも助役が出来たためか、ノッシノッシと道行く姿にもどこか重みがた。……(略)

 年も人の言に惑わぬ今が盛り。幸いにして健康に恵まれ、酒も呑まず、家庭環境もうらやましい好条件がある。子女皆そのところを得ている。苦労人だけあってホロリと人に同情もする。あんな大きな図体で家に帰れば子供や孫を相手に笑いこけている姿を見れば、一日中役場で疲れた頭が休まるのかもしれない。・・・(略)


 戦後の何もない時代に、人々が必死に暮らそうとしていた地を整え、誰の言葉に対しても耳を傾け、その心に接しながら、人間としての豊かな生き方を創造しながら、損得なく取り組んでいた祖父の姿がみえる。物資が溢れ過ぎている今の時代に、もし祖父が健在であったなら、どのようなことをしていただろうか。社会をどのようにみていただろうか。そしてどのような言葉を吐いただろうか。


「今やることはそんなことではない」

「欲を出すな」

「足元を見ろ」

「すべきことをしろ」

「心を割って話せ」

「自分は自分だ」

「人間我が物顔で生きるものではない」

「感謝しろ」


 こうして考えていると、私の苛立ちはおさまってくる。しかし、疑問は疑問として残っている 。 

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記事: Blog2 Post

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