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看護師資格の意味を問う

  • 36 分前
  • 読了時間: 4分

 「残しておきたい7人のコラム」から、村松静子さんの「起業家ナースのつぶやき」を紹介しています。今回は『看護師資格の意味を問う』です。


vol.28

看護師資格の意味を問う

2003-09-19


突然死防げ! 「除細動器」来春にも解禁

厚生省が検討会設置へ 条件付きで一般人に


 2003年9月7日付のこの新聞記事に目を見張った人は私だけではあるまい。


 この4月、医師の指示がなくても救急救命士による除細動器の使用が認められ、航空機の乗務員にも、機内に医師がいない場合という条件下での使用が認められた。救急救命士にその行為が解禁されて半年、確かに救命率は上がったという。そのような実績を踏まえてのことであろう。今度は一般人にも解禁しようという動きが進んでいる。突然死が増えているわが国でも、欧米諸国に見習って、一般人も除細動器を使えるようにしようというものである。あくまで「突然死」対策の一環として、救急医や消防関係者などの専門家の意見を取り入れ、公共施設や交通機関などに常備しようということらしい。患者が倒れてから3分以内に除細動器を使えば7割以上の人が助かる、それなら条件付きで一般人の使用を認めようということなのだという。その行動は明快といえば明快である。


 しかし、看護師の私はなぜか不納得である。一般人に認める上での条件の1つに、「使用者が自動対外式除細動器の講習を受けている」という一項がある。もちろんそれは絶対不可欠な条件といえる。しかし私は考えてしまう。


 米国の医師たちは、救急処置に関する訓練を定期的に受けることが義務付けされていると聞く。つまり、医師であれば誰もが救急救命の技術を身につけているということになる。本来、それは当然のことといえよう。私は、すべての医療従事者に対して任務責任を徹底させるべきと考えている。もちろんそこには看護師も含まれる。


 わが国では、果たして、医療従事者のどれぐらいが「除細動器」を使用したことがあるのだろうか。医師は? 歯科医師は? 看護師は? 放射線技師は? 薬剤師は?・・。


 また、使用したことのある医師はどのような判断プロセスで使用しているのだろうか。どれだけの看護師が「除細動器」に触れたことがあるのだろうか。


 私たち看護師は、法律上において、現在もなお、医療行為についてはすべて医師の指示の下でなければ行えないことになっている。つまり、指示下でのみ行えるということである。解禁されたといわれる静脈注射でさえ、いや、ヘルパーに解禁された吸引さえも自らの判断のみでは実施できない。一般人にも浸透している血圧測定でさえも、その測定結果を独自に判断して患者に伝えることは医療行為とされ、「診療の補助」業務の範疇におかれているのが実情なのである。一方では、医療機器の使用上の注意点をよく理解せずに、安全に機能するかどうかを確認することを怠ったとして送検される看護師が増えている。一瞬手を放しての転倒事故が目立つ在宅でも、今後は同じようなことが起こってくるだろう。そこには、看護師としての判断どころかプロとしての責任意識もないまま、ただ仕事をこなしている姿しか映らない。そのような状況での送検はやむを得ないのだが、法律という根源の事情を考えるとまったくもって不可思議である。


 資格を持つ看護師は100万人に達している。看護師の国家資格とは何なのか。今の時代、改めてその意味や価値を考え、医師法・保助看法を見直す必要があるのではないか。


 除細動器に関するニュースに、私は35年間歩んできた看護師の道を振り返り、何ともやるせない気持ちになった。2003年6月のヘルパーの吸引解禁にあたって、「介護士も訓練を積んでいろいろなことができるようになっている。医師や看護師でなければできないということではなく、段階的に拡大していかなければいけない」「できることはみんながやれるようにしていきたい」と厚生労働相は発言した。私はもう一言聞きたかった。「看護師が一部の薬剤の投与や一部の医療機器の取り扱いを独自の判断で行えるよう、法律を見直して、改正すべきである」と。


 除細動器の使用を、条件付きであれ医療職以外の一般人に認めていくのであれば、法律を改正することも視野に入れて医療行為全般まで踏み込んで議論していくことが望ましいのではないか。もちろん、法律の改正を望むからには、看護師の責任は当然のこととして受け止め、ランクづけもやむを得ない。一般市民や多くの関係者が認める看護師は一握りだけかもしれない。しかし、若い世代の看護師が大きくはばたける道を拓くことが今は必要である。私たち団塊の世代の看護師に残せることはそんなことのような気がする。


 規制緩和の波に乗りすぎて、踏むべき段階を踏まずに緩和を進めることは、多くの危険性を伴うことになると考えるのは私だけだろうか。

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